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zoom RSS わさドラ感想第193回  のび太の宇宙英雄記(2015)

<<   作成日時 : 2015/03/08 23:25   >>

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2015年春の映画は,宇宙ヒーローもの!
その名も,宇宙英雄記(スペースヒーローズ).
大杉監督によるオリジナル作品でした.
私,のびみつは3月8日(日)の9時15分からの回に見てきました.
公開翌日に行くのは初めてです.(いつも早くて1週間後くらい)

ちなみにのびみつのモットーは,「ドラえもんを通して社会を考える」.
これはことしも同じです.
映画自体の感想だけではなくて,
映画を見て,感じたことをことしも書いてみます.

















以下,ネタバレですのでご注意ください!





















「ホームラン」ではないけれど,
「2ストライクからのヒット」だったような気がします.
まず,よかった点とよくなかった点を挙げます.

【よかった!】

◎のび太とアロンによる,「正義のヒーロー」像の模索

◎3つの誤解

○過去のいろいろな映画やレギュラー放送を彷彿とさせた

◎ストーリーが現代の日本社会を象徴しているようで,
社会派な解釈が可能だった


【よくなかった…】

▲「クライマックス」らしさに欠けた
 (例年必ずある,強い感情の揺さぶりがなかった)

▲日常から冒険への躊躇や葛藤が弱かった



まず大きな話からしていきます.

◎のび太とアロンによる,「正義のヒーロー」像の模索
宇宙海賊に立ち向かうなかで,
「正義のヒーロー」とは何か?ということを
のび太・アロンが考え,苦悩していたところが見どころでした.

アロンは,自分より圧倒的に強いのび太たちが本物のヒーローだと思っている.
けれど,のび太はバッジを装着しないと無力であることを思い知らされる.
のび太は,アロンがポックル星の人々の笑顔を守り抜くことこそ
本物の正義のヒーローだと感じる.
そこで,正義のヒーローを認め合って,うち解け合う.

ただ敵をけちらすことができるだけが,正義のヒーローではないということを
ストーリーから紡ぎ出している点で評価できます.
それは,映画を観ている子どもたちにとって刺激的でしょうし,
架空のおはなしの「正義のヒーロー」に憧れていたのび太が
少し大人になった,重要な転換点でもありました.


◎3つの誤解
この映画には,少なくとも3つの誤解がありました.
1)のび太たちがアロンを映画の撮影の演出と誤解
2)アロンがのび太たちを本物のヒーローと誤解
3)ポックル星の人たちが宇宙怪獣に,
 ポックルランド開発で星を発展させると騙されている


1,2,3の順に誤解が解かれていきます.
観客も推理・謎解きしながら明らかになっていった
2013年のひみつ道具博物館とは違って,
観客はこれらをみんな知っていますから,
より
俯瞰的に見ることができます.(これはこれで良い)
工夫した点を感じたのが,
1,2,3にそれぞれ大きな時間差があったこと.
とくに,1と2の間に大きな間がありました.
のび太たちが,自分たちは本物のヒーローではないことを
アロンに明かそうと思えば明かせる機会は幾度かありましたが,
のび太は躊躇していました.
この明かすか,明かさないかという葛藤も見どころだと思います.

1)の誤解の間,
ジャイアンなどが棒読みの演技を繰り返して,
まだ1)の誤解が継続していることを定期的に伝えていたところが
わかりやすかったです.
そして,3)は,アロンがじくじたる思いをする原因にもなっていて,
善良なポックル星人をだますスペースパートナー社の凶悪さを引き立てています.

これらは,すべてうまくまとまっていて,理解しやすかったです.


○過去のいろいろな映画やレギュラー放送を彷彿とさせた

過去の映画のオマージュと思われる演出がありました.
たとえば,ひみつ木っちから出ているアロンのもとに,
のび太がやって来て語り合うシーン.
新魔界の美夜子さんとのシーンを思い出します.
そして,エネルギー充填が時間との戦いというシーン.
新宇宙開拓史を思い出しました.
35周年記念といえば,記念ですね.

映画だけではありません.
たとえば,ジャイアンの特技の相撲.
「バレンタインにはおもちとすもうを」(2月13日)で詳しく取り上げられました.
それから,ひみつ基地からの偵察・出発という点では,
「秘密基地で世界を守れ!」(1月30日)を思い出します.
こういう伏線があって,目新しさ・奇抜さはないものの,
なんだか「いつものような」安心した感じで観ることができました.
まぁ,これはデメリットと表裏一体なのですが.


◎ストーリーが現代の日本社会を象徴しているようで,
社会派な解釈が可能だった

というのは,最後に書きます.

つづいてよくなかった…という点です.

▲「クライマックス」らしさに欠けた
 (例年必ずある,強い感情の揺さぶりがなかった)


いろいろありますが,
まずボスであるイーカロス?が,
そもそも体力が弱っている状態だったということです.
弱っているから,太陽に相当する星のグラファイトが必要で,
そうすれば宇宙を支配できるというような論理でしたが,
たしかに恐ろしい計画です.
でも,のび太の目の前で弱っている状態を見せているのが,
「はぁ……これがボス……?」という感じでした.

いえいえ,それよりそのあとの発射装置のタイムリミットの方が
クライマックスだったでしょう.
それにしてもです.
巻き戻し機能は,今回は容易に推測できました.
(のび太の出発シーンやり直しで使われていた)

部分巻き戻しで解決させるのは,
クライマックスとしてどうなんだ?という率直な疑問もあるでしょう.
もちろん,新魔界では,
タイムマシンで元に戻って対処しましたが……
新魔境では,先取りで5人を呼び寄せていましたが……
今回は,なんか,切迫感が限定的でした.

例年必ず体験する,
強い感情の揺さぶりがとくにありませんでした.
まあ,あるからいい,ないから悪いというわけではないのですが.
ヘタにお涙頂戴されるよりは,上品な感じがあるのですが.
※皮肉かもしれませんが,
一番感情を揺さぶられたのは,上映前に流されたこのCMでした.



▲日常から冒険への躊躇や葛藤が弱かった
それから,これ.
ストーリー構成上,仕方ないかもしれませんが,
思っていたよりも意外とあっさり,
じゃあ宇宙海賊をやっつけましょう,という話になっていました.
もちろん話し合いの機会はありましたし,
葛藤もありましたが.
スネ夫の押しが弱かったような気がします.

その原因としては,
宇宙海賊の手下を意外とたやすく
やっつけることができたことが考えられます.
むろん,当初のジャイスネはオーゴンに歯が立ちませんでしたが…


さて,じゃあ一番言いたいこと,
◎ストーリーが現代の日本社会を象徴しているようで,
社会派な解釈が可能だった
   について!

なんだか,少し昔から現在の日本の,
中央(東京)と地方の力関係が想起されました.

ポックル星は,従来,田舎すぎて他の星からほとんど人が来ない
外部から隔絶された地域でした.
そのなかでは,ポックル星の論理だけで平和な星が保たれていました.
しかしいつしか,スペースパートナー社と名乗る外部者たちが来て,
遊園地,温泉を建設します.
外の論理でものごとが動くようになってしまいます.
彼らは,「ポックル星の発展のためだ」と言います.
ポックル星の人々は手放しで歓迎します.

そして,建設してしまったが最後,
ポックル星は「消滅」の道へ…….

これは極端ながらも,現実でもあるでしょう.
近代化,そして高速交通・通信ネットワークの整備によって,
外部と隔絶された農村・集落はなくなり,
グローバル化や,都市の資本の論理が流入してきます.
国・中央の論理で,
地方の開発がどんどん進められます.
少し前の時代でしたら,リゾート開発がそれに相当しますね.
(1970,80年代)
もちろん,現実では,温泉や遊園地ができたからといって
即滅びるわけではないのですが,
農業者は観光業に転業して,
「外部からの観光客に依存した」経済になります.
すると,観光客の減少という中央・都市での動向が
直接,地方に打撃を与えることになります.

……手放しで喜ぶ地方に,
甘い汁を吸わせて,結果的に「消滅」につながるという構図
です.

さらに現実に近い生々しい例が,
福島第一原発周辺の地域でしょう.
国の電力エネルギー政策で,
中央の電力をまなかうために地方に作られた原発.
原発が立地する自治体には,交付金という甘い汁を吸わせます.
当時の町の「議員」たちは,おそらく甘言にのせられたのでしょうか.
建設されても,あの事故が起きるまでは,
ポックル星の人たちのように,期待を寄せ続ける.
そして,長い期間にわたる,実質的なまち・ふるさとの「消滅」という惨事に至った……

東日本大震災,福島第一原発事故から4年.
実質的に「消滅」したふるさとの重みを,
私たちは忘れかけてはいないでしょうか?
スペースパートナー社のイーカロスは,
「あんなちっぽけな星,消滅してもいいんだ」という趣旨の発言をして,
のび太の逆鱗に触れ,あやとりによる強力な攻撃に結びつきました.
それだけ,その発言が,のび太にとっては許しがたいことでした.
その怒りは,のび太が「正義のヒーロー」たる象徴でした.

それは,同時に現実に対する隠れたメッセージのような気もします.
「あんなちっぽけなまち,消滅してもいいんだ」とまでは言わなくても,
「あの小さなまちが避難区域になったのは,しょうがない」などという
他人事のような考えはないでしょうか.
楢葉町,浪江町などにも,それぞれの生活があり,
それこそ「笑顔」がありました.
「正義のヒーロー」になれとは言わないでも,
失われてしまった生活がある,
しかもこの映画のように巻き戻しできない現実があるなかで,
忘れずに真剣に考え続けていくこと,
そして二度とそのような過ちを犯さないよう,訴えていく
こそが,
私たちにとっての正義なのだという考察ができると思います.



以下,気づいたことを箇条書きで.

・テレビアニメのヒーロー「銀河防衛隊」(宇宙防衛隊?)の
「びっくり! どっきり! 驚異的!」という決めぜりふがいいですね.
・OP前に「ドラえもん〜!」って叫ばず,
たしか「急がなきゃ〜」というところからOPに入りました.
変化球.しかも,コーラスバージョン.(コーラスいいね)

・のび太の部屋に,ドラえもんの人形がありました.

・プロデューサードラえもんがすばらしくかわいい.
・映画撮影中のノビオン,かわいい.
・映画撮影中の敵キャラ,スネークは,レギュラーからの伏線か?
街中ぐにゃぐにゃネンドロン)1月10日.

・しずかちゃんが高くジャンプしたとき,スカートのなかが見えてたような!
白かったですよ?! 2016年のテレビ再放送で放送できるか?

・バーガー監督がなぜ真実を早めに語らなかったのか?
なんか頼りない.でもしずかちゃんにデレデレする監督かわいい.

・子どもたちとふれあうのび太 と 子どもたちとふれあうアロン
が対になっている構造はよかったですね.

・なぜかムードもりあげ楽団にのって,出発するとき,
のび太が2度もパンツ姿で出たり,逆にパンツとズボンしか出なかったり
というのはとても面白かったです.

・しずかちゃん,シャワーシーンがありました.
はてさて,2016年のテレビ再放送時にはどうなるでしょうか.
さすがに話の流れ的に,カットはできないでしょう.


とりあえずこんなところでしょうか.
ということで,私個人的なお気に入り度は,次の通りです.

新鉄人≒博物館>新大魔境>新魔界≒恐竜2006
英雄記>新開拓史>緑巨人伝>奇跡の島≒人魚


来年はどんな映画でしょう.
大長編を全く知らないのであてにならないですが,
おまけ映像には,
なにやら,ユニコーンのようなものの描写と,
桃のようなものがパッカリ割れた描写があった気がするので,
「桃太郎のなんなのさ」とかでしょうかね.
でもあれは少し短いですし,わさドラでも放送しているんですよね.
見当がつきません.期待しましょう.

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
来年はネットでは日本誕生のリメイクだとうわさされてますね
まあ最後の大根でその説はかなり濃厚ですけど
ドラぼう
2015/03/09 06:27
いつも拝見させていただいてます
来年はのび太の日本誕生のリメイクだと思われます
監督は新のび太の大魔境の八鍬新之介監督なので、期待してます
今回の映画、挿入歌の「ミラク銀河防衛隊のテーマ」が印象的でしたね
ぼーけんってなんだろー
ゆーしょうってなんだろー
是非CD化して欲しいです
とと
2015/03/09 23:51
まだ映画は見てないですが日本誕生のリメイクと聞いて衝撃を受けています。あの映画ドラえもん10周年記念作品で25周年で大山ドラえもんが終了したところをみると大山ドラの真ん中編の作品がもうリメイク?と驚きました。とはいえ初期の作品はほぼリメイクしたんで当たり前と言えば当たり前ですが。
ハナ
2015/03/12 20:33
ただドラえもん映画初期作品は映像技術が古いから最新映像技術で作り直すだけでも価値はありますが日本誕生クラスなら今見てもそんなに古い感じをしないので、ストーリーもそれなりにアレンジしないと飽きてしまうような気もします
ハナ
2015/03/12 20:45
ドラぼうさん,コメントありがとうございまスペースヒーローズ.
なるほど,そうだったのですね.最後のはダイコンでしたか.モモに見えました(汗).

ととさん,コメントありがとうございまスペースヒーローズ.いつもご覧くださり,ありがとうございまスペースヒーローズ.
挿入歌,この記事には書き忘れましたが,確かに印象的でした.「冒険ってなんだろう」,「勇気ってなんだろう」って聞こえましたが,優勝でしたっけ? いずれにしても,正義とは何か,ということが大きなテーマであることを感じさせる挿入歌でした.

ハナさん,コメントありがとうございまスペースヒーローズ.
もし実現すれば,1990年,ついに90年代のリメイクですね.確かに技術だけでは物足りません.現代という時代にあった映画にしてくれることと思います.楽しみに待っていましょう.
のびみつ(管理人)
2015/03/13 23:46

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